私たちの基本的考え方

原発被ばく問題プロジェクト ステートメント(声明)

 

  

1(事故全体の理解と最優先の課題)

福島第一原発事故は、企業経済優先で国民の安全をないがしろにしてきた結果、起こるべくして起こった人災である。

福島第一原発のメルトダウンは今も収束しておらず、放射性物質を放出し続けている。今求められている最優先の課題は、これ以上の環境汚染を防止するため、放射性物質を原発敷地内に安全に閉じ込める方法を確立することである。


(被曝の進行と地域社会回復の要件)

住民の放射線被曝の実態はまだ明確になっておらず、今なお生活環境や食品を通して低線量被曝が続いている。

福島県民が健康的な生活を取り戻していくためには、国と東電による完全かつ包括的な補償の迅速な遂行の上に、被曝線量の最大限の低減を前提として、福島の基幹産業である農漁業の再建復興、健康的な住宅環境とコミュニティの回復が不可欠である。

なお、東北東部と関東地方の大半も福島第一原発の風下地域となっており、福島県内と同様に放射性降下物による生活環境の悪化や健康への影響を考慮する必要がある。



3(低線量被曝の健康調査のあり方)

福島県内と風下地域における住民の被曝は概ね低線量被曝であるため、健康への影響は他の要因に隠れて判然としない可能性が高く、甲状腺など一部の臓器に限定されることのない丁寧な医療対応と半世紀にわたる長期的な健康調査が必要である。

とりわけ放射線感受性の高い子どもや妊婦の健康状態を迅速に把握するために、国の責任で周産期を含む小児医療供給体制の充実と18歳までの医療費無料化をはかる必要がある。



(主体的かかわり方)

われわれPANW原発被ばく問題プロジェクトは、広島、長崎の原爆被爆者の援護、ビキニ等の核実験被害者への対応の経験と教訓を糧として、原発事故被害の拡大を防止するために、国内外の広範な科学者、市民の運動と連帯して取り組むことを表明する。